
- 一人りで暮らしている親も年を取り、足腰が弱ってきた。段差や階段などで転倒しないだろか。
- 布団の上げ下ろしが大変になってきたようで、敷きっぱなしになっていることが多い。
- 昔からの友人が減って、趣味や外出の機会が減り孤立していないか心配。
高齢の家族が一人暮らしや夫婦二人暮らしを続けることは、健康管理や家事の負担、認知症の心配、孤独感、緊急時の対応など、気になることがたくさんあります。
私は病院で作業療法士として17年勤務し、多くの患者様とそのご家族へリハビリや退院支援を行ってきました。
自宅で生活できる身体作りはもちろん、自宅を安全な環境すること・介護保険を活用し必要なサービスを取り入れること・生活習慣を整えることがご本人やご家族にとって安心して生活する助けになります。
この記事を読むことで、高齢者が住み慣れた自宅で暮らし続けるための方法が分かります。
私がこれまで培ってきた経験を、安心しておうちて暮らす視点でまとめました。高齢者の方を支えるご家族、ご本人はぜひ読んでいただきたと思います。
在宅生活の基本:安全な住環境づくり
1.転倒しやすい床の特徴5つと対策
高齢者の転倒は、重大な事故や障害の原因になることが多く、予防することが重要です。
転倒の多くは、自宅で起こります。特に、床の環境が転倒しやすい要因になっていることは多いです。
- 滑りやすい床 (濡れている床・滑りやすい床材)
- 段差のある床
- 敷物のある床
- 物が置いてあるある床
- 暗い床

意外と見落としがちなのが、”④物が置いてある床”ではないでしょうか?
滑りやすい床
- 水を拭き取り、床を乾かす。
- すべり止めマットを敷く。
- すべりにくい床材へ変更する。
- 滑り止め効果のある、フロアコーティングをほどこす。
段差のある床
- 手すりになるものを置く。
- 高い段差は踏み台を置き、段差を分ける。
- スロープを使用して段差の上り下りをしない。
- 蛍光テープを貼り、段差を目立たせる。

あまり知られていませんが、
・床とカーペットの段差
・床と玄関マットやバスマットの段差
・廊下とドアの段差
など、自宅の中にある小さい段差での転倒も多いです!!
敷物のある床
- なるべく敷物の使用は控える。(掛物の枚数を見直す)
- 敷物の下に滑り止めを敷き、すべらない様にする。
- 敷物の端を固定し動かないようにする。

カーペットやこたつ布団、玄関マットなどの敷物は、めくれたりずれたりして足をひっかけやすい場所です。
物が置いてある床
- 床には直接ものを置かない
- コードは壁に沿わせて固定する
- 収納場所を確保する

電気コードや新聞、雑誌、郵便物などの物が置きっぱなしになっていませんか?
またいだり、滑ってしまうなど転倒の危険性が高まります。
暗い床
- 人感センサー付きのライトを使用し、自動で足元を照らす。
- 夜間の移動時には懐中電灯を使用する。
- 目にやさしい色の床材する。

住み慣れた自宅でも、夜のトイレなどで転倒される方も多いです。
2.スリッパが危ない理由5つと安全な履物
高齢者の転倒事故の多くが自宅内で起こっています。
そして、転倒の原因として考えられるのが、意外にもスリッパの使用です。
スリッパは一見、足元を暖かく保ち、素足で床に触れるのを防ぐために便利なアイテムのように思えます。
しかし、実は転倒リスクを高める隠れた要因なのです。
>>>【意外】スリッパが危ない理由5つとおすすめルームシューズ
スリッパが危険な理由
①脱げやすい
スリッパは脱ぎ履きがしやすいように、かかとがなく縦横共に余裕のある作りになっています。
足にフィットしないため、だれでも使用できる一方、歩いたり階段の上り下りの時に脱げやすくなります。
そのため、脱げたスリッパにつまずいたり、足をひっかけたりして転倒する可能性があります。
滑りやすい
スリッパの底は足さばきが良いように滑りやすい素材でできていることが多く、濡れた床やカーペットの上などで滑りやすくなります。
洗面所や床の拭き掃除の後、季節ごとでのカーペットの変更などで滑ってしまいバランスを崩し、転倒する危険性があります。
歩き方が変わる
スリッパは歩くときに足と床の間に空気が入り、足音が響きやすくなります。
足音が大きいと、周りの人に気をつかい歩幅や歩き方が不安定になり、転倒しやすくなります。
サイズ大きいスリッパほど大きな音がするので、サイズは足に近いものが良いです。
足の指を固定する
人は歩いている時、足の指は無意識に地面をつかむように動いています。
スリッパはつま先部分が細くなっていることが多く、足の指がひとかたまりに固定されて自然な動きができなくなります。
足の指がうまく動けないことで、足元の感覚が低下し、地面との接触感覚が薄れてしまいます。
疲れやすい
スリッパの底の多くは真っ平らですが、私たちの足底はそうではありません。
ヒトの足の裏には、土踏まずを中心に縦と横にアーチができています。
この足のアーチは、バランスをとる、足や膝、腰への負担を軽減したり、推進力をつくる機能があります。
スリッパには足のアーチをサポートする足底がありません。
そのため、どうしても足の疲労が強くなります。
転倒予防になる履物の特徴
- かかとがある軽量なシューズ
- 滑り止め付きの底材
- フィット感のある作り
- つま先に余裕がある設計
- 脱ぎ履きが容易な構造
3.浴室の安全対策
浴室は滑りやすい床、湿度、狭さなど、転倒リスクが高まる要素が多くあります。
浴室での転倒予防策として、福祉用具や自宅改修も重要です。
≫【浴室の安全対策】転倒予防に効果的な福祉用具と自宅改修のポイント
福祉用具
シャワーチェア
シャワーチェアは、その名の通り風呂場で使用するための椅子です。
一般的なお風呂椅子と比べ、しっかりとした作りになっており、高さ調節が可能です。
座面の高さが椅子と同じくらいなので、足腰への負担が格段に軽くなります。


利用する方の身体の機能はもちろん、浴室を圧迫しないものを選びましょう。
滑り止め・滑り止めシール
滑り止めは、風呂場の床や風呂椅子などに貼り付けたり敷いたりして使用するものです。
浴槽からの立ち上がりや、浴槽から出る際に滑りにくい足元を作ってくれます。
- 滑り止めマット
- ゴムや塩化ビニールなどの素材で作られ、滑りにくく足元の安定を助ける。
- 滑り止めシール
- 貼るだけで滑りにくい床を作ることができる。防水性があり、貼り替えが容易。
動作時の足の置き場所の目印としても使用できる。
注意点
・滑り止めを設置する前に、風呂場の床や壁が清潔で乾いていることを確認する。
・滑り止めマットは定期的に清掃して、カビや滑りやすい汚れが溜まらないように注意する。
・滑り止めマットが長時間水に浸かると劣化することがあるので、使用後はよく乾燥させる。
・劣化や破損をを定期的にチェックし、必要に応じて交換する。

管理方法が主な注意点ですので、手入れのしやすさも購入時にのポイントにして下さい。
バスボード
バスボードは、浴槽をまたいで入れることが困難な方や、立ったままシャワーを浴びるのが難しい方が入浴できるように作られた福祉用具です。
あまり見たことがないものだと思いますので、注意点に加え使い方も紹介します。

使用方法
- バスボードを浴槽の上に固定します。ほとんどのものは浴槽の幅に合わせて調節できます。
- バスボードが安定していることを確認したら、浴槽の端に座ります。 ボードがずれないように注意が必要です。
- 片足ずつ足を浴槽の中に入れます。
- 自分が安全にバスボードに座れていることを確認したら、浴槽に入ったりシャワーを浴びます。

バスボードは基本的に、介助が必要な方に使用されることが多い福祉用です。
使用する際には破損や劣化、使用方法を適切に守りましょう。
自宅改修
手すりの設置
浴室内に手すりを設置することで、立ち上がりや移動時の安全性を高めることができます。
設置個所
- 浴槽の奥側
- お風呂の椅子から立ち上がる時につかめる場所
- 浴室へ出入りする時につかめる場所
- 浴槽内を移動する時につかめる場所

壁の材質や老朽化などで、手すりを付ける壁に下地を入れる必要があることもあります。
施工業者さんに確認してもらいましょう。
ドアの変更
浴室のドアは内側に開くようになっている場合が多いです。
出入りの際や、万が一浴室で転倒した場合にドアが開かず、救助に時間がかかる可能性もあります。
ドアが外側に開くか、スライド式のドアに変更することで転倒時でもドアを開けやすく、救助が容易になります。

開き戸から引き戸へ変更することで浴室との段差が解消され、出入りが楽になります。
床材変更
床材は滑りやすさを大きく左右しますので、改修時のポイントお伝えします。
ポイント
- 滑りにくい床材: ゴムや樹脂製の床材がおすすめです。
- 色: 明るい色にすることで水滴やせっけんカスなどが見えやすく、視認性が上がります。
- 床面の均一性: 凹凸が少ないく、滑らかな床材を選びましょう。
- 水はけ: 水溜りを防ぎ、滑りにくい状態を保つことができます。
- 耐久性: 長期間使用しても劣化しにくい、床材を選びましょう。

床材の変更は大がかりな改修です。費用や専門家の意見を聞きながら行って下さい。
照明の選定
”改修”と大がかりではありませんが、浴室の電球は明るいものを選ぶことも大切です。
水滴や水たまり、せっけんカスなどが見えやすく、安全を目で確認できます。

電球交換は転落事故につながる生活動作のひとつなので、頻度は少ないほうがいいです。
電球を白熱灯からLEDへ変更することで、電球交換の頻度を減らすことができます。
≫【浴室の安全対策】転倒予防に効果的な福祉用具と自宅改修のポイント
以下の記事も追加で読んでいただけると、より安全な住環境作りに役立てます。
介護保険の利用方法とその内容
家の改修、機器のレンタル、介護サービスの利用。
これらが必要になったとき、どうすればいいのでしょうか?
日本には”介護保険”という社会保障制度があり、サービスを費用の一部負担で受けることができます。
1.介護保険の基礎知識
介護保険の仕組みとは?
介護保険制度は、社会全体で高齢者の介護を支えるための制度です。
サービス内容としては、食事や入浴、移動などの日常生活の支援、自宅での生活を支えるための住宅改修、介護施
設でのリハビリやケアなどがあります。
そして、これらのサービスを利用するためには、まず「要介護認定」を受ける必要があります。
これは、医師や介護専門家による評価で、個人の介護の必要度を判定します。
「要介護1~5」または「要支援1・2」の認定を受けた人が介護保険のサービスを利用できます。
介護保険は40歳以上の全ての日本国民が加入することが義務付けられています。

介護保険の適用条件
重要なポイントは「要介護」または「要支援」の認定を受けることです。
これは、医師や介護専門家が行う評価で、介護の必要度を判定します。
認定を受けると、介護サービスを利用するための計画(ケアプラン)が作成され、各種のサービスを利用できるよ
うになります。
認定を受けても、全てのサービスが無料で利用できるわけではなく、サービスの利用には一部自己負担が必要です。
2.介護保険の申請手続き
介護保険の申請方法と必要な書類
申請方法
- 申請者本人またはその家族が居住地の市町村役場に「介護認定申請書」を提出します。
- 申請書を提出した後、市町村から派遣された認定調査員が自宅等を訪問し、生活状況や身体の動きなどを評価します。
- 調査結果をもとに、介護保険認定審査会が介護度を決定します。介護度は自宅に通知されます。
申請に必要な書類
- 介護保険認定申請書:市町村から提供されます。申請者本人または家族が記入します。
- 医師の診断書:主治医が記入します。具体的な病状や介護が必要となった経緯などを詳細に書きます。
申請から認定までの流れ
- 本人やご家族から、市町村へ介護保険申請を行う。
- 市町村から「認定調査員」が派遣され、ご本人の日常生活の動きや認知機能を調査する。
- コンピューターを使用して、客観的に一次判定を決定する。
- 保健・医療・福祉の専門家で構成される介護認定審査会にて、介護度を決定する。
- 要介護認定の通知が自宅に送付される

介護認定審査会は医師や看護師などから成る専門的なチームで、調査結果とともに医師の診断書などを考慮に入れて、最終的な介護度を決定します。
サービス利用までの流れ

3.主なサービス内容
介護用品のレンタル

福祉用品の購入
介護保険では、特定の福祉用具を購入する際、年間10万円を上限に費用の9割~7割を補助 する制度があります。
対象となる福祉用具
- 腰掛便座(ポータブルトイレなど)
- 入浴補助用具(浴槽手すり、シャワーチェアなど)
- 簡易浴槽
- 移動用リフトのつり具部分
- 自動排泄処理装置の交換可能部品

対象となっているのは、高額かつ排泄や入浴に関する衛生的な物になっています。
訪問型サービス
- 訪問看護
- 看護師が自宅に訪問し、医療処置や薬の管理・リハビリ・終末期ケアを行います。
- 訪問介護
- ヘルパーが自宅を訪問し、入浴・排泄・食事の介助・服薬のサポートなどの身体介護、掃除や洗濯・調理・買い物などの日常生活の支援の生活援助などのサービスが受けられます。
通所型サービス
- デイケア
- 身体機能・生活能力の回復、維持を目的に、医師の指示のもと、理学療法士や作業療法士による専門的なリハビリを受ける日帰りのサービスです。より医療的なリハビリに重点を置いています。
- デイサービス
- 生活のサポート・社会交流・介護者の負担軽減を目的に、自宅で生活する高齢者が施設に通い、食事や入浴、レクリエーション、機能訓練(軽い運動)などを受けられる日帰りの介護サービスです。
- ショートステイ
- 介護者の休息、急な入院や外出時の一時的な介護サポートを目的に、介護が必要な方が短期間(数日~数週間)施設に宿泊し、食事・入浴・リハビリなどのケアを受けるサービスです。
自宅改修費の助成
宅を安全・快適にするための改修費用を、20万円を上限に支給 する制度です。自己負担は1~3割 となります。
対象となる改修
- 手すりの設置
- 段差の解消(スロープ設置・床のかさ上げなど)
- 滑り防止や移動を楽にするための床材変更
- 引き戸などへの扉の交換
- 洋式トイレへの改修

改修には費用負担や施工期間などに制限があります。
そのため、改修しなくてもレンタル品で代用できるケースが多いです。
以下の記事も読んでいただければ、より介護保険やサービスの理解が深まります。
≫家族を支える介護用品:介護保険でレンタルできるアイテム完全版
≫【在宅で元気に!|高齢者のためのリハビリ支援サービス完全ガイド】
日常生活をサポートする福祉用具
1.移動補助具の選択
杖
最近では、100円ショップでも見かけるようになった”杖”。
家族からプレゼントされる方も多く、その存在は身近です。
使い方を正しく理解することで、安全に使用していただければと思います。
杖の種類


杖の長さ
杖の長さは、長すぎても短すぎても安全に使用することはできません。
杖の長さの目安としては、身長÷2+3㎝ とされています。

杖は屋外で使用することが多いです。必ず靴を履いて長さを合わせてください。
長さの合わせ方

杖を持つ手と持ち方

杖と足の順番
- 足腰に痛みがある・不自由な側がある方
- ①杖 →②健康・痛みのない足 →③不自由・痛い足 の順で使用しましょう。
- 痛みがなく、楽に歩くために使用している方
- 杖と同時に、反対側の足を出しましょう。スピードが付き、スムーズに歩くことができます。
会談でのつき方
- 階段を昇るとき
- ①健康・痛みのない足 →②杖 →③不自由・痛みを感じる足
- 階段を降りるとき
- ①杖 →②不自由・痛みを感じる足 →③健康・痛みのない足
杖のメンテナンス
- 杖先のゴムの交換
- 杖先のゴムは摩耗すると滑りやすくなるため、定期的な交換が必要です。
新しいゴムは専門店やオンラインで400円ほどで購入できます。
- 定期的な点検
- 杖の持ち手や、高さの調節する部分のシフト部分が緩んでいないか、亀裂や損傷がないか定期的に確認しまょう。万が一、異常が見かった場合はすぐ修理や交換を行ってください。

先ゴム交換を知らない方も多いです。数百円の買い替えで、長く慣れた杖を使い続けられます。
歩行車
歩きを支えるツールとし、杖以外にも”歩行車”という選択肢もあります。
歩行車は、長寿生活を可能にするための強力なパートナーになります。


階段や砂利道などの不整地での使用は難しいので、環境に合わせて選択しましょう。
歩行器


自宅の廊下の広さや、移動範囲に合わせて選定が必要です。
2.寝具の選択

布団は日本の文化として親しまれていますが、布団からの立ち座りは足腰に負担が大きい動作です。
ベッドは高齢者にとって身体の負担が少なく、安全で快適に睡眠がとれる環境のため、ベッドを勧めています。
ベッドをお勧めする理由3つ
- 立ち上がりやすい
- ベッドは床からの高さがあるため、足腰の弱っている高齢者でも楽に立つことができます。
スムーズに、歩く準備の態勢になれるので動き出しもあせらなくなります。
- ホコリを吸い込みにくい
- 布団は床に敷くため、空気中のホコリを吸い込みやすく、風邪や感染症のリスクが高まります。
実は、ほこりの中には綿や毛だけでなく、ダニの死骸やカビの胞子などが含まれているのです。
咳やくしゃみ、かゆみ等のアレルギーを引き起こすこともあります。
- 暖かく眠れる
- ベッドには高さがあるため、流れてくる空気の暖かさを十分に感じることができます。
湿気がこもりがちな夏も、ベッドの下を空気が通り抜けるように工夫すれば、快適に過ごすことができます。
ベッドを選ぶときのポイント
- ベッドの高さは足が着く程度
- べッドは布団に比べ高さがあるので、転落でのケガには注意が必要です。
座ったときに足の裏が床につく高さのものを選びましょう。
- マットレスは硬めを選ぶ
- 柔らかいマットレスは身体が沈み込み、寝返りや起き上がりがしずらくなります。
座面が安定せず足に力が入りにくく、立ち上がる時のフラつき・転倒に繋がることもあります。
マットレスを選ぶ際には、寝心地に加え寝返りや立ち座りもしてみてください。
認知症予防、健康維持するための方法
1.基本動作の注意点
日常生活での基本動作を安全に行うことは、自立した生活を送るための重要な要素です。
ここでは、各動作の安全な方法と注意点をご紹介します。
- 急がず、ゆっくりと余裕を持って行動することで、転倒や事故のリスクを減らすことができます。
- 体調の悪い時は無理をせず、必要に応じて家族や介護者に相談しましょう。
- 定期的に使用する場所には手すりの設置を検討しましょう。
立ち上がり動作の安全な方法

歩行時の注意事項
- 足元はしっかり見て、障害物がないか確認します
- 廊下や部屋には十分な明るさを確保しましょう
- 滑りにくい履物を選び、床が濡れている場所は避けて歩きます
- 歩幅は小さめにして、安定した歩行を心がけます
階段の上り下り
- 必ず手すりを使用し、一段ずつ確実に足を置きます
- 荷物は両手が使えるよう、リュックなどを活用しましょう
浴室での動作
- 浴室内には滑り止めマットを敷き、手すりを設置します。
- 浴槽の出入りは、手すりを使いながらゆっくりと行います。
- シャワー椅子の使用で、立ち続ける負担を減らすことができます。
- 急な温度変化を避け、かけ湯で体を慣らしてから入浴します。
≫【浴室の安全対策】転倒予防に効果的な福祉用具と自宅改修のポイント
2.生活リズムの調整

規則正しい生活リズムを保つことは、心身の健康維持に重要です。無理のない範囲で生活リズムを整えることで、より快適な毎日を送ることができます。
適切な運動量の確保
- 朝の軽いストレッチで、体をゆっくりとほぐします。
- 天気の良い日は10〜15分程度の散歩を心がけます。
- 家事の動作も運動と考え、掃除や洗濯などを積極的に行います。
- テレビを見ながらでもできる、足踏みや肩回しなどの軽い運動を取り入れます。
≫【在宅で元気に!|高齢者のためのリハビリ支援サービス完全ガイド】
睡眠時間の管理
- 毎日同じ時間に起床・就寝することを心がけます。
- 日中に日光を浴びることで、体内時計を整えます。
- 就寝前2時間は、スマートフォンやテレビの使用を控えめにします。
- 室は適度な温度と湿度を保ち、静かな環境を整えます
食事時間の規則性
- 朝・昼・夕の3食を、できるだけ決まった時間に摂ります。
- 食事の時間は最低20分以上かけ、よく噛んで食べます。
- 夕食は就寝2時間前までに済ませるようにします。
- 間食をする場合は、午前10時と午後3時頃がおすすめです。
≫【高齢者の元気な毎日を支える食事!】健康維持に必要な栄養素とおいしい食事の工夫
介護者の負担軽減のためのポイント
介護は長期間続く活動であり、介護者自身の健康管理も大切です。
介護者の身体的・精神的負担を軽減するためのポイントをご紹介します。
休息のとり方
- 疲れを感じたら、無理せず5〜10分の小休憩をとります。
- 横になる時は20〜30分を目安にし、長時間の昼寝は避けます。
- 眼精疲労を感じたら、遠くを見たり目を閉じたりして目を休めます。
- 緊張をほぐすため、深呼吸やストレッチを取り入れます。
活動と休息のバランス
- 午前中は家事や運動など、活動的に過ごします。
- 昼食後は30分程度の軽い休憩をとります。
- 午後は趣味や軽い運動など、無理のない活動を行います。
- 夕方以降は徐々に活動レベルを下げ、就寝に向けて体を休めます。
定期的な休息の確保
介護者の健康管理は、自宅での生活を継続するうえで重要なことです。
- 1日の中で必ず休憩時間を設ける。
- 定期的に深呼吸やストレッチで体をほぐす。
- 介護保険のサービスを使用するなどして、週に1回は自分の時間を持てるようにします。
- 困った時は、一人で抱え込まずケアマネージャーに相談したり、サービスを利用する。
生活リズムを整えることで、体調管理がしやすくなり、毎日を快適に過ごすことができます。急激な変更は避け、少しずつ習慣づけていくことが大切です。
以下の記事も参考にしてください。
≫【在宅で元気に!|高齢者のためのリハビリ支援サービス完全ガイド】
≫【高齢者がもっと自立できる!】|宅配サービスと自動家電が変える新しい暮らし方
≫高齢者住宅と施設の違いを知ろう – 自立度に合わせた住まいの選び
介護技術の基本
介護技術の基本を知ることで、より安全で効率的な介護が可能になります。
- 介護の前に必ず声かけを行い、相手へ安心感を与え、協力を促します。
- 無理な介助は避け、必要に応じて複数人で対応します。
- できることは本人にしてもらい、介助者の負担軽減・自立支援を心がけます。
- 急がず、ゆっくりと安全な介助を心がけます。
ボディメカニクスの活用
介助者の身体に負担をかけない介助方法
- 立って介助する時には、膝を軽く曲げ、背筋を伸ばし腰への負担を軽減します。
- 力を入れる時は息を吐きながら行います。
- できるだけ対象者に近づいて介助します。
- 腕の力だけでなく、身体全体を使って介助します。
これらのポイントを意識することで、介護者の負担を軽減し、より良い介護を続けることができます。
一人で抱え込まず、必要に応じて周囲のサポートを受けることが大切です。
≫高齢者住宅と施設の違いを知ろう – 自立度に合わせた住まいの選び方
社会資源の活用

介護を一人で抱え込まず、地域の様々なサービスやサポート体制を活用することで、介護の負担を軽減することができます。ここでは、利用できる社会資源とその活用方法をご紹介します。
地域包括支援センターの利用
地域包括支援センターでは、以下のような支援を受けることができます。
- 介護に関する総合的な相談対応
- 介護予防のためのアドバイスや教室の紹介
- 高齢者の権利擁護や虐待防止の相談
- 必要なサービスの紹介や関係機関との連携支援
地域のサポート体制の活用
- 民生委員による見守りや相談支援
- 地域のボランティアグループの活用
- 認知症カフェなどの地域交流の場への参加
- 近隣住民との関係づくりと協力体制の構築
≫【認知症予防のカギ!|高齢者の趣味と社会参加が健康寿命を延ばす理由】
緊急時の連絡体制の整備
- かかりつけ医や救急病院の連絡先リストの作成
- 親族や近隣住民の緊急連絡先の整理
- 緊急通報システムの設置検討
- 救急時の対応手順を家族で共有
≫【高齢者の突然の入院に備える!】事前にできる準備と自宅ケアの工夫
相談窓口の確立
- 地域包括支援センターの担当者を決めておく
- ケアマネージャーとの定期的な連絡体制を確保
- 医療機関の相談窓口の確認
- 介護経験者の集まりや家族会への参加
これらの社会資源を上手に活用することで、介護者一人の負担を減らし、より安定した介護生活を送ることができます。
まずは地域包括支援センターに相談し、利用できるサービスや支援について詳しく確認してみましょう。一つずつできることから始めることが大切です。