
- 高齢者だからこそ不足がちな栄養や、食事の注意点は?
- 食が細くなってきたので、効率よく栄養が摂れる方法を知りたい。
- いつまでも健康でいるための、具体的な食事を知りたい。
高齢になると、食事の量が減ったり、栄養バランスが偏りがちになったりと、健康維持に不安を感じる方も多いのではないでしょうか。
加齢に伴う身体の変化により、必要な栄養素の種類や量も若い頃とは異なってきます。
また、食欲の低下や咀嚼力の衰えによって、十分な栄養を摂取することが難しくなることも。
そこで今回は、シニア世代に特に気をつけていただきたい栄養摂取のポイントと、毎日の食事で実践できる具体的な工夫をご紹介します。
おいしく楽しみながら、いつまでも健康的な生活を送るための食事術をお伝えしていきます。
高齢者に必要な主要な栄養素とは?
タンパク質
タンパク質は、高齢者の健康維持に欠かせない栄養素です。
特に、筋肉量を保ち、免疫力を高めるために重要な役割を果たします。
年齢とともに筋肉量が減っていく「サルコペニア」という状態を防ぐためにも、十分なタンパク質摂取が必要です。
65歳以上の高齢者では、1.2g/kg体重/日のタンパク質を摂取することが健康維持に必要とされています。
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」
タンパク質には大切な特徴があります。
それは、脂肪や糖分と違って、体内に貯めておくことができないということです。そのため、毎日の食事でこまめに補給する必要があります。
タンパク質を多く含む食材は実に豊富です。


十分な量を摂取できないと、体は必要なタンパク質を得るために、筋肉や臓器を分解してしまいます。
これが続くと、筋力の低下や免疫力の低下を引き起こす原因となってしまいます。
加えて、高齢になると、体がタンパク質を上手く活用する力も弱くなってきます。
そのため、1日3食の食事にバランスよく取り入れることが大切です。
1回の食事でまとめて摂るよりも、朝・昼・夕に分けて摂取する方が、身体が効率よく使えるのです。
タンパク質の摂取方法のポイント
- 毎食に少量ずつ取り入れる
- タンパク質を一度に多量に摂取するよりも、1日の食事全体に均等に分配することが効果的です。
朝食に卵やヨーグルト、昼食に豆腐や魚、夕食に鶏肉や納豆を取り入れることで、バランスよく摂取できます。
- 消化・吸収を考慮した食材選び
- 噛む力や消化能力が低下している場合、柔らかく調理した魚や、豆腐、煮込み料理などを選ぶとよいでしょう。
- 植物性タンパク質の活用
- 動物性タンパク質に加え、豆類や大豆製品(豆腐、納豆、味噌など)を活用することで、多様なアミノ酸を効率よく摂取できます。
- プロテイン補助食品の活用
- 食事から十分なタンパク質を摂取できない場合は、医師や管理栄養士のアドバイスのもとでプロテインドリンクや高タンパクのスナックを取り入れることも選択肢です。
ビタミンとミネラル
ビタミンは私たちの健康維持に不可欠な栄養素ですが、バランスの取れた摂取が重要です。
特に注意が必要なのは、体内に蓄積されやすい脂溶性ビタミン(A、D、E、K)です。
一方、水溶性ビタミン(CやB群)は過剰分が尿と共に排出されるため、比較的安全です。
ビタミンの種類と特徴
種類 | 特徴 | 過剰摂取の症状 |
脂溶性ビタミン | 体内に蓄積される | 高い |
水溶性ビタミン | 尿として排出される | 比較的低い |
脂溶性ビタミンの過剰摂取による症状と原因




水溶性ビタミンの過剰摂取による症状


安全な摂取のための3つのポイント
- サプリメントは必要最小限に抑える
- 栄養は基本的に食事から摂取する
- サプリメント使用時は医師や管理栄養士に相談する
高齢者におすすめのバランスの良い食事プラン
毎日の食事で気をつけるポイント7選
- ①主食・主菜・副菜を揃える
- 主食(ごはんやパン、麺類)、主菜(魚、肉、卵、大豆製品などのタンパク質源)、副菜(野菜やきのこ類)を組み合わせることで、バランスの良い食事が作れます。特に野菜は1日350g以上を目標に摂りましょう。
- ②水分をしっかり摂る
- 高齢者は喉の渇きを感じにくいため、水分不足になりがちです。1日1.5~2リットルを目安に、水やお茶、スープなどでこまめに補給することが大切です。
- ③よく噛んで食べられる工夫をする
- 噛む力が弱くなったり、飲み込みが難しくなったりする場合は、柔らかく調理したり、小さく切ったりして食べやすい形にしましょう。また、出汁やソースで味を調えると食欲が増します。
- ④適量を守る
- 年齢とともに基礎代謝が下がるため、エネルギーの過剰摂取には注意が必要です。一方で、必要な栄養素(タンパク質やビタミン、ミネラル)はしっかり摂るようにしましょう。
- ⑤色とりどりの食材を選ぶ
- 色鮮やかな食材は栄養価が高いことが多く、見た目も食欲を刺激します。例えば、緑のほうれん草、赤のトマト、黄色のパプリカを使ったサラダなどがおすすめです。
- ⑥減塩を意識する
- 塩分の摂りすぎは高血圧や腎臓病のリスクを高めます。醤油や味噌などの調味料は控えめにし、レモンや香草を使った風味づけを取り入れると減塩がしやすくなります。
- ⑦間食で不足を補う
- 一度に多く食べられない場合は、間食で栄養を補いましょう。ナッツ、ヨーグルト、果物など、栄養価の高い軽食を選ぶのがポイントです。
これらを意識することで、栄養バランスが整い、体力や免疫力の維持に役立ちます。
食事は単に栄養を摂るだけでなく、楽しむことも大切です。好きな食材や料理を取り入れながら、無理のない範囲で続けていきましょう。
一日の食事例:朝食、昼食、夕食の工夫


このメニューはあくまで一例です。
個々人の咀嚼力や嚥下機能、好みに応じて調整してください。
また、持病がある場合は、医師や栄養士に相談の上、適切な調整を行うことをお勧めします。
共通の配慮ポイント
- すべての料理は食べやすい大きさにカットする。
- 咀嚼・嚥下に配慮した柔らかさにする。
- 彩り豊かな野菜を使用することで、見た目でも食事を楽しむ工夫を。
- 出汁やハーブをつかい、減塩に努める。
- 適度な水分補給を意識。
- 栄養バランスを考慮した組み合わせ。
高齢者の水分補給の重要性
高齢者は加齢により喉の渇きを感じにくくなり、脱水のリスクが高まります。
また、脱水は熱中症や便秘、腎機能低下などの健康問題を引き起こす可能性があるため、意識的な水分補給が重要です。
脱水症状を防ぐための水分補給のポイント
- 甘味のないお水やお茶を基本に、1日1.5~2リットルを目標に飲みましょう。
- スポーツドリンクは塩分・糖分に注意して適度に摂取しましょう。
- カフェインの多い飲み物は控えめにする。
- 食事に汁物(みそ汁、スープ)を加えることで、水分補給に効果的に活用しましょう。
水分摂取を促す工夫とアイデア
毎日の生活で無理なく水分補給できる工夫をご紹介します。
朝のルーティン作り
- 起床時にコップ1杯の白湯や水を飲む習慣をつける。
- 食事のたびに飲み物を用意する。
- テーブルや居間に飲み物を常備する。

朝、暖かい飲み物を水筒に作っておけば、準備の手間もなくおすすめです。
美味しく飲める工夫
- その日の気分や体調、季節などにに合わせて、飲みものを変える。
- レモンやミントの葉などを加えて、風味や香りに変化をつける。
- ゼリーやアイスなども水分補給に活用する。
小さな工夫で継続的な水分補給を心がけることで、健康的な生活を送ることができます。
夏はもちろん、乾燥する冬にも意識的に水分を摂るように心がけましょう。
まとめ
以上、高齢者の健康的な食生活について解説してきました。
毎日の食事で意識したいのは、良質なタンパク質の摂取、ビタミン・ミネラルの補給、そして適切な水分補給です。
特に、筋肉量の維持に欠かせないタンパク質は、魚や肉、卵、大豆製品などから積極的に摂取しましょう。
野菜や果物からのビタミン摂取も重要です。
色とりどりの食材を取り入れることで、自然と必要な栄養素が補給できます。
また、のどの渇きを感じにくい高齢者は、意識的に水分を取ることを心がけましょう。
食事の工夫として、食材を小さく切る、やわらかく調理する、温かいものは温かく提供するなど、食べやすさにも配慮が必要です。
楽しく美味しく食事をすることが、心身の健康維持につながります。毎日の食事を大切にし、いつまでも元気に過ごしていきましょう!