- 高齢者が家以外で生活できる場所にはどんなところがあるの?
- 家での介護が大変になってきた…施設への入所を検討したい。
- 自分の老後の住処を知っておきたい。
高齢化が進む中、老々介護となり自宅での生活が困難になった。介護が必要になったが、”家族の世話にはなりたくない”と考える高齢者も多いです。
そのため、自宅以外で暮らせる場所の選択肢が増えています。
高齢者向けの住宅や施設には様々な種類がありますが、自立度に合わせて適切な住まいを選ぶことが大切です。
グループホームやサービス付き高齢者向け住宅、有料老人ホームや特別養護老人ホームなど、それぞれの特徴や入居条件、費用について紹介します。
さらに、高齢者の自立度に合わせた住まいの選び方もご紹介しますので、高齢者の方や家族の方のお役に立てたらと思います。
高齢者施設の種類と特徴
”施設”にもニーズに合わせた様々な場所があります。
介護老人保健施設(老健)
老人保健施設は、病状が安定していて入院治療の必要がない要介護高齢者が入所できる施設です。
医師や看護師が常駐し、リハビリテーションなどのケアサービスを提供しています。
利用者一人ひとりの状態や、目標に合わせたきめ細かなケアが受けられることが特徴です。
- 特徴
- ・医療ケアの充実: 医師が常駐し、看護師が24時間体制で医療ケアを提供
・リハビリテーションの充実: 作業療法士、理学療法士、言語聴覚士などのスタッフが入所者100人に1人以上配置され、リハビリに力を入れている。
・夜間の安心体制: 看護師が24時間体制で入所者の健康管理を行い、夜間も安心して過ごせる。
・家庭的な雰囲気: ユニット型個室や少人数の多床室など、生活の場として家庭的な雰囲気を大切にしている。
- 入所条件
- ・65歳以上で要介護1以上の認定を受けていること。
・病状が安定しており、入院治療の必要がないこと。
・リハビリテーションが必要と判断されること。
・40歳以上64歳以下の方でも、特定の疾病により要介護認定を受けている場合は入所可能です。
- 費用
- ・初期費用: 無料
・月額費用: 概ね8万円~14万円程度 介護サービス費: 食事介助、入浴介助などの介護サービス費用
・生活費: 居住費、食費、日用品費など。
所得に応じて、住居費や食費の補助制度があり、実質的な負担は軽減される場合がある
- 入所期間
- 老人保健施設は、リハビリなどを通じて自立支援を目的としているため、原則として短期間の入所が想定されています。ただし、入所者の状態に応じて長期入所も可能です。
特別養護老人ホーム(特養)
特別養護老人ホームは、公的な介護施設として、比較的低価格で手厚いケアを受けられるのが特徴です。
入所希望者が多いため、待機期間が長くなることもありますが、介護が必要な高齢者にとって重要な選択肢の1つといえます。
- 特徴
- ・終の棲家となり得る: 常に介護が必要な高齢者のための「終の棲家」として位置づけられている
・24時間の介護サービス: 入浴、排泄、食事など、日常生活全般にわたる介護サービスを24時間体制で提供
・リハビリテーションの実施: 機能訓練などのリハビリテーションサービスを提供し、可能な限りの自立支援を目指す。
・家庭的な雰囲気: ユニット型個室や少人数の多床室など、生活の場としてのな雰囲気を大切にしている。
- 入所条件
- ・65歳以上で、介護保険の要介護認定で「要介護3」以上の認定を受けていること。
・40歳以上64歳以下の方でも、特定の疾病により要介護3以上の認定を受けている場合は入所可能
・要介護1~2の方でも、特例的に入所が認められる場合がある
- 費用
- 初期費用: 無料(入居一時金なし)
月額費用: 概ね5万円~15万円程度介護サービス費: 食事介助、入浴介助などの介護サービス費用
居住費: 食費、家賃、光熱費など。所得に応じて、居住費や食費の補助制度があり、実質的な負担は軽減される場合がある
- 入所期間
- 特別養護老人ホームは、終の棲家としての役割を担っているため、基本的に長期入所が想定されています。ただし、入所者の状態に応じて、短期入所や在宅復帰も可能です。
グループホーム
グループホームは、認知症を患っている高齢者の自立支援と地域生活の継続を目的とした施設です。
少人数での共同生活と、家庭的な雰囲気が特徴で、入居者のプライバシーを尊重しながら日常生活の支援を行っています。
入所条件や費用面でも、他の高齢者施設と異なる特徴があります。
- 特徴
- ・少人数の共同生活: 5~9人程度の少人数で共同生活を送る。
・認知症ケアに特化: 認知症高齢者の自立支援と、その方らしい生活支援に特化したサービスを提供
・地域密着型: 地域の中で生活を継続できるよう、家庭的な雰囲気を大切にしている
・プライバシーの確保: 個室を基本とし、入居者のプライバシーを尊重
・自立支援: 入浴、排せつ、食事などの日常生活動作の自立を支援
- 入所条件
- ・65歳以上の高齢者で、「要支援2~要介護5」の認定を受けている方
・65歳未満の若年性認知症や初老期認知症と診断された方も対象
・同一地域内に居住していることが条件
- 費用
- ・初期費用: 入居一時金(10万円~100万円と施設ごとに幅が大きい)
・月額費用: 15万円~30万円程度家賃・管理費・食費
・介護サービス費:所得に応じた補助制度があり、実質的な負担は軽減される場合がある
- 入所期間
- ・グループホームは基本的に長期入所が前提
・入居者の心身の状況に応じて、短期入所や在宅復帰も可能
・終の棲家として、生涯にわたる入所も想定されている
外観が一般の戸建て住宅のような、地域に溶け込んでいる場所もあります。
有料老人ホーム
有料老人ホームは、高齢者の自立支援と生活の質の向上を目指す施設です。
様々なタイプがあり、タイプごとに入所条件が異なります。入居者のニーズに合わせて選択できるのが特徴です。
ただし、初期費用が高額なため、事前の十分な検討が必要です。
- 特徴
- ・介護サービスの提供: 食事、入浴、排せつ、服薬管理など、日常生活の支援サービスを提供
・多様なタイプ: 「介護付き」「住宅型」「健康型」など、入居者のニーズに合わせて様々なタイプがある
・施設の雰囲気: ホテルのような設備や、家庭的な雰囲気を持つ施設が多い
・自立支援: 機能訓練やレクリエーション活動を通じて、可能な限りの自立生活を支援
- 入所条件
- ・65歳以上の高齢者が主な対象
・要介護認定の有無や程度によって、入所できるタイプが異なる。
「介護付き」: 要介護1以上
「住宅型」: 自立または要支援
「健康型」: 自立
・施設によっては、40歳以上の障がい者も入所可能な場合がある
- 費用
- ・初期費用: 入居一時金(なし~数千万円と施設ごとに幅が大きい)
・月額費用: 15万円~35万円程度。家賃・管理費、食費、介護サービス費
所得に応じた補助制度があり、実質的な負担は軽減される場合がある
- 入所期間
- ・有料老人ホームは基本的に長期入所が前提
・入居者の心身の状況に応じて、短期入所や在宅復帰も可能
・終の棲家として、生涯にわたる入所も想定されている
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)
サービス付き高齢者向け住宅(以下:サ高住)は、高齢者の自立した生活を支援することを目的とした住宅です。
バリアフリー設計と生活支援サービスの提供により、要介護度の低い高齢者が自由度の高い生活を送ることができます。
入所条件や費用面でも、他の高齢者施設と異なる特徴があります。
- 特徴
- ・バリアフリー設計: 高齢者の自立した生活を支援するためバリアフリー設計が施されている
・生活支援サービスの提供: 食事の提供、緊急時対応、健康管理など、日常生活を支援するサービスが付帯
・自立支援に特化: 要介護度の低い高齢者を対象とし、自立した生活を送れるよう支援
・自由度の高い生活: 外出や外泊、来客などの制限が少なく、自由度の高い生活が送れる
- 入所条件
- ・60歳以上の高齢者
・要介護・要支援認定を受けている60歳未満の方も入居可能
施設によっては、入居時の要介護度に制限がある場合もある
- 費用
- ・初期費用: 入居一時金(10万円~30万円程度)
・月額費用: 10万円~25万円程度家賃・管理費、食費、生活支援サービス費
所得に応じた補助制度があり、実質的な負担は軽減される場合がある
- 入所期間
- ・サ高住は基本的に長期入居を前提とした住宅
・入居者の心身の状況に応じて、短期入居や在宅復帰も可能
・終の棲家として、生涯にわたる入居も想定されている。
自立度に合わせた住まいの選び方
高齢化が進み、老々介護で自宅での生活が難しくなる方も多いです。
また、”家族に負担はかけたくない”と自宅以外での生活を希望する高齢者も多いように感じます。
自宅以外の場所で、その人らしく生きていける高齢者向けの住まいの選択肢は多様化しています。
そのため、費用面や自立度に合わせて、適切な住まいを選ぶことが重要です。
介護付き有料老人ホームは手厚いケアが受けられますが、他の施設に比べて費用が高額です。
一方、サービス付き高齢者向け住宅は自立支援に特化し、バリアフリー設計と生活支援サービスが整っています。
住宅型有料老人ホームは日常生活のサポートがあり、自立度の高い高齢者に適しています。
高齢者の心身の状況と生活スタイルに合わせて、最適な住まいを見つけること。
それは、残りの人生の充実度と安心感を大きく左右します。
自宅での生活が難しくなった時、どこに生活拠点を移すのか?それを考える一助になれば幸いです。