- 家族が入院になった時のための備えを知りたい。
- 入院した時の、家族同士が連携で大切なことってある?
- いざ家族が入院した時、病院へ差し入れで大切なものや盲点とは?
突然の入院は、高齢者本人だけでなく家族にとっても大きな負担となる一大事です。
とはいえ、急な入院の備えといわれても難しいですよね。
この記事では、入院時に慌てないために日頃からできる準備や、入院後のスムーズなサポート方法、退院後の自宅ケアについて具体的なアドバイスを紹介します。
事前の備えをしておくことで、入院時の不安を軽減し、本人も家族も安心して対応できるようになります。
17年病院に勤務している私が、患者様とご家族様のとやりとりの中から実感している内容を交えてお伝えしますので、参考にしていただければと思います。
1. 突然の入院に備えた準備とは?
病院によっては、使用できる物品が制限される場合があります。
また、あまり荷物が多すぎると取り扱いが大変なので、家族や友人が後で持ってきてもらえるよう、最小限の荷物で準備しておくと良いでしょう。
1.入院バッグを準備しておく
入院時に必要となる最低限の物品は、入院バッグとして日頃から準備しておくと安心です。
玄関や目につく場所に置き、すぐに持ち出せるようにしておくと、急な入院時でも慌てずに済みます。
以下が基本的な入院バッグの中身のリストになります。
これらは、入院直後に必要な最低限のものです。
必要に応じて、家族や友人に他の物を後から持ってきてもらうことも考慮しましょう。
書類関係
・健康保険証や高齢者医療証
・介護保険の認定書やサービス計画書
・服用している薬のリスト、またはお薬手帳
・介護保険の認定書やサービス計画書
・医師の連絡先や過去の診断書
・緊急連絡先(家族、親戚、近隣の友人)
衣類
・パジャマまたは着替え(前開きのものが便利)
・下着と靴下(2〜3日分)
・踵が覆われているスリッパ(院内移動用)
洗面用具
歯ブラシと歯磨き粉
フェイスタオル1枚
コップ(歯磨き用)
その他
・スマートフォンや携帯電話の充電器
・メガネや補聴器(必要に応じて)
・マスク
救急車搬送され、着の身着のまま入院される方も多いです。
入院バッグが救急隊にも目につく、玄関などにあると安心です。
2.入院バッグの中身以外で必要になる可能性のあるもの
1. 衣類
- 羽織れるカーディガンや薄手の上着(病院内は冷えることがあるため)
- リハビリシューズ(歩行訓練が必要な場合)
・靴は、履きなれたものがいいです。新品の靴だと、靴擦れや歩き方が変わってしまうこともあります。
2. 洗面用具
- 洗顔料・スキンケア用品
- タオル(フェイスタオル、バスタタオル)
- シャンプー、リンス
- くし
3. 日用品
- ティッシュペーパーやウェットティッシュ
- イヤホン(音楽やラジオを聞く場合)
- 眼鏡、補聴器、入れ歯(必要に応じて)
病院によっては、洗面用具や日用品はすべて業者からレンタルできます。
5. 小物・便利グッズ
- 印鑑(入院手続きや書類提出時に必要)
- ポケットサイズのメモ帳とペン(メモや日記を書く際に便利)
7. 衛生用品
- 生理用品や失禁パッド(必要な場合)
- おむつ(必要な場合、病院に事前に確認する)
8. その他
- 本や雑誌、パズル、折り紙、縫物・編み物、PCなどの暇つぶしアイテム (入院中にリラックスできるもの)
高齢者の方にとって、刺激の少ない入院生活で認知症を発症する場合があります。
認知機能や自発性の維持のためにも、暇つぶしになるものは大切だと考えます。
2. 緊急時の連絡網を確立しておく
普段から、家族や近しい人と緊急時の連絡手段を確認し、連絡網を作っておきましょう。
電話番号だけでなく、LINEやメールなど、複数の手段を準備しておくと安心です。
というのもコロナ以降、病院ごとに面会が制限されていることもあるためです。
また、スマホやタブレットの使用ができることで、ご家族とのコミュニケーションがスムーズにとることができます。
高齢者にとって、ご家族とのつながりを持ち続けることで、認知機能の低下・精神的な落ち込みを防ぐことに繋がります。
3.生活の中でできる工夫
高齢者が日常生活でできる工夫は、入院などの緊急時や普段の生活を便利にするためにも重要です。
これらの工夫は、生活の質を向上させ、緊急時にご家族も困らないようにすることができます。
家族が訪れた際に確認や補充ができるようにしておくことで、互いの安心感も高まります。
1. タンスや収納スペースへのラベリング
衣類や日用品にラベルを貼る
引き出しや棚に「半袖」「下着」「靴下」などのラベルを貼ることで、本人だけでなく、同居していない家族や介護スタッフも必要なものをすぐに見つけられます。
配偶者やお子様へ”〇〇を持ってきてほしい”と伝えても、”どこにあるのか”が分からない。と言われ、持参してもらえないケースも多いです。
特に着替えを頼んだ際の、肌着や靴下の難易度が高い印象があります。
2. 重要書類の保管場所を明確にする
重要書類のファイル化とラベリング
健康保険証、介護保険証、お薬手帳、診察券、銀行の通帳などをまとめたファイルを用意し、「重要書類」とラベルを貼っておきましょう。
誰でもすぐに見つけられる場所に保管しておくと、緊急時に役立ちます。
3. 緊急時の連絡先の表示
冷蔵庫や玄関に緊急連絡先を貼る
家族や近しい友人、かかりつけ医の連絡先を冷蔵庫や玄関の目立つ場所に貼っておくことで、急な事態でも誰でもすぐに連絡が取れるようにします。
4. 日常の動線を整理
歩きやすい動線を確保する
家具の配置や床にモノを置かないことで、転倒のリスクを減らせます。
安全でスムーズに移動できる動線を確保しましょう。
階段に滑り止めマットを敷く、階段や玄関の上がり框に手すりを取り付けるなども効果的です。
5. 薬の管理を簡単にする
薬の管理方法を考える
薬を飲み忘れがないように、お薬カレンダーや仕切りボックスなどもおすすめです。
家族が遠隔で確認できる場合は、スマホのアプリでリマインダーを設定することも有効です。
6. 家事を簡略化する工夫
調理器具や家事道具を使いやすく整理する
毎日使う調理器具や食器を取り出しやすい位置に配置したり、頻繁に使う洗剤や掃除用具も簡単に手に取れる場所に整理しておくと、日常の家事が楽になります。
必要以上の食器や重い大皿、使用していない調理器具なども見直すといいです。
4. 入院中に家族ができるサポート
- 病院との連携をスムーズにする
- 病院スタッフとのコミュニケーションを円滑にし、治療方針や経過を把握しましょう。
- 患者の気持ちをサポート
- 高齢者の心理的負担を軽減するための声かけやサポート方法について紹介します。
- 買い物サービス
- スーパーマーケットの配送サービスや、インターネット通販を活用できるようにしておきます。
特に、食料品や日用品の定期配送を利用すると便利です。
5. 退院後の自宅ケアの工夫
1.介護サービスの利用を検討する
介護保険の申請やサービスの導入(リハビリの継続、訪問看護やデイサービス、ホームヘルパーなど)することで、無理のない介護環境を整えましょう。
≫家族のために知っておきたい!介護保険を利用した家屋改修の基礎知識
2.自宅内の安全対策
転倒防止のための手すりや段差解消など、自宅での事故を防ぐ工夫を紹介
6. 最後に
人間だれしも年を重ねるにつれ、急な病気やケガのリスクは高くなります。
そのため、入院治療がが必要になることもあります。
突然のことで慌ててしまうと思いますが、万が一のための事前準備をしておくことで、ご本人も家族も安心して対応できるはずです。
この記事が、万が一の備えの一助になれば幸いです。