【浴室の安全対策】転倒予防に効果的な福祉用具と自宅改修のポイント

【浴室の安全対策】転倒予防に効果的な福祉用具と自宅改修のポイント
  • お風呂で使う福祉用具にはどんなものがあるの?
  • 自分に合った福祉用具選びのポイントは?
  • 大がかりな改修まではしなくていいけど、工夫できることはある?

皆さんの大切なご家族が、自宅で安心して過ごすためには、日常生活の中での安全対策が必要です。

中でも浴室は滑りやすい床、湿度、狭さなど、転倒リスクが高まる要素が多くあります。

そこで、この記事では高齢者の浴室での転倒予防策として、福祉用具選びと自宅改修のポイントを詳しく解説します。

適切な福祉用具の使用や、環境を整えることで、生活の安全を守る一助になれば幸いです

福祉用具の紹介

シャワーチェア

シャワーチェアは、その名の通り風呂場で使用するための椅子です。

一般的なお風呂椅子と比べ、しっかりとした作りになっており、高さ調節が可能です。

座面の高さが椅子と同じくらいなので、足腰への負担が格段に軽くなります。

種類も豊富で、

  • 背もたれの有無
  • ひじ掛けの有無 
  • ひじ掛け付きだが、跳ね上げができるもの
  • 折り畳みができるもの

と、様々ありますので必要な機能に合わせたものを選んでください。

ひじ掛けと背もたれのあるタイプ
背もたれなしタイプのタイプ

便利なシャワーチェアですが、選ぶ際の注意点もあります。

注意点

  • 使う人の体格に合わせたものを選ぶ。
  • 浴室を圧迫しすぎないものを選ぶ。

体格に合わないものや、導線が確保できないことは転倒へつながってしまいます。

OTみどり
OTみどり

扉の開閉や浴室内の移動に支障がない大きさを選びましょう

滑り止め

滑り止めは、風呂場の床や風呂椅子などに貼り付けたり敷いたりして使用するものです。

浴槽からの立ち上がりや、浴槽から出る際に滑りにくい足物を作ってくれます。

滑り止めには2種類あります。

  • 滑り止めマット:ゴムや塩化ビニールなどの素材で作られ、滑りにくく足元の安定を助ける。
  • 滑り止めシール:貼るだけで滑りにくい床を作ることができる。防水性があり、貼り替えが容易。
OTみどり
OTみどり

滑り止めシールは、動作時の足の置き場所の目印としても使用できます。

改修をせずに滑りにくい床を作れる滑り止めですが、安全に使用するための注意点があります。

注意点

  • 滑り止めを設置する前に、風呂場の床や壁が清潔で乾いていることを確認する。
  • 滑り止めマットは定期的に清掃して、カビや滑りやすい汚れが溜まらないように注意する。
  • 滑り止めマットが長時間水に浸かると劣化することがあるので、使用後はよく乾燥させる
  • 劣化や破損をを定期的にチェックし、必要に応じて交換すること。
OTみどり
OTみどり

管理方法が主な注意点ですので、手入れのしやすさも購入時にのポイントにして下さい。

バスボード

バスボードは、浴槽をまたいで入れることが困難な方や、立ったままシャワーを浴びるのが難しい方が入浴できるように作られた福祉用具です。

基本的には、介助が必要な方に使用されることが多い福祉用です。

あまり見たことがないものだと思いますので、注意点に加え使い方も紹介します。

浴槽にバスボードを設置したイメージ図

使用方法

  1. バスボードを浴槽の上に固定します。ほとんどのものは浴槽の幅に合わせて調節できます。
  2. バスボードが安定していることを確認したら、浴槽の端に座ります。 ボードがずれないように注意が必要です。
  3. 片足ずつ足を浴槽の中に入れます。
  4. 自分が安全にバスボードに座れていることを確認したら、浴槽に入ったりシャワーを浴びます。

注意点

  • 浴槽がきれいで滑りにくいことを確認する。
  • バスボードを固定する際は、浴槽にフィットしていることを確認する。
  • 必ず座った状態で使用すること。
  • バスボードを使用する際は、必ず手すりやバーを設置して、転倒を防ぐ。
  • 耐荷重を超えないように注意する。
  • 使用後は清潔に保つために、洗浄して乾燥させる。

自宅改修

自宅の浴室を改修することで、より安全に使えるようになります。

自宅改修の際に注意すべきポイントを4つ紹介します。

手すりの設置

浴室内に手すりを設置することで、立ち上がりや移動時の安全性を高めることができます。

設置個所

  • 浴槽の奥側
  • お風呂椅子から立ち上がる時につかめる場所
  • 浴室へ出入りする際につかめる場所
  • 浴室内の移動時につかめる場所

ちょうどいい場所に手すりがあるように、身長や動き合わせて高さを合わせて設置することが大切です。

OTみどり
OTみどり

壁の材質や老朽化などで、手すりを付ける壁に下地を入れる必要があることもあります。

ドアの変更

浴室のドアは内側に開くようになっている場合が多いです。

出入りの際や、万が一浴室で転倒した場合にドアが開かず、救助に時間がかかる可能性もあります

ドアが外側に開くか、スライド式のドアに変更することで転倒時でもドアを開けやすく、救助が容易になります。

開き戸から引き戸へ変更することで浴室との段差が解消され、出入りが楽になるでしょう。

床材の変更

床材は滑りやすさを大きく左右します。

ここでは、改修時のポイントと注意点をお伝えします。

ポイント

  • 滑りにくい床材: ゴムや樹脂製の床材がおすすめです。
  • 色: 明るいことで水滴やせっけんカスなどが見えやすく、視認性が上がります。
  • 床面の均一性: 凹凸が少ないく、滑らかな床材を選びましょう。
  • 水はけ: 水溜りを防ぎ、滑りにくい状態を保つことができます。
  • 耐久性: 長期間使用しても劣化しにくい、床材を選びましょう。

注意点

  • 清潔にする: 床材がどれほど滑りにくい素材であっても、水垢や汚れはと床を滑りやすくします。
  • 床材の交換: 床材の劣化や破損が見られた場合は早めに交換しましょう。
OTみどり
OTみどり

床材の変更は大がかりな改修です。費用や専門家の意見を聞きながら行って下さい。

照明の選定

”改修”と大がかりではありませんが、浴室の電球は明るいものを選ぶことも大切です

水滴や水たまり、せっけんカスなどが見えやすく、安全を目で確認できます。

また、電球交換は転落事故につながる生活動作のひとつなので、頻度は少ないほうがいいです。

電球を白熱灯からLEDへ変更することで、電球交換の頻度を減らすことができます。

まとめ

浴室で使用する福祉用具と改修箇所についてお伝えしてきました。

福祉用具

  • シャワーチェア:使用する人の体格や、浴室の広さを考慮して選ぶ。
  • 滑り止め:使う箇所を考え、安全に使用できるように管理する。

自宅改修

  • 手すりの設置:使用する人の体格に合わせ、浴室や浴槽への出入りの際に使用する場所に付ける。
  • ドアの変更:外側に開くか、スライド式に変更することで転倒時でもドアを開けやすくなる。
  • 床材の選定:滑りにくい素材・明るい色・凹凸が少ない・水はけが良い・耐久性が選定ポイント。
  • 照明の選定:明るい環境は安全を目で確認できます。電球をLEDへ変更するのもおすすめ。

最近では、ホームセンターでも福祉用具を見かけるようになりました。

購入する際には、ここまでにお伝えした注意点を参考にしていただければと思います。

また、分からないことや質問などがあれば、地域包括支援センターという機関があります。

市町村ごとに設置されていますので、自治体名+地域包括支援センターで検索すると連絡先が分かります。